何10万もの親が、毎朝目を覚ますたびに、我が子に麻薬をやめさせるための何か決定的な手はないかと自問自答している。今日もあしたも「どうすればいいのか」と問い続ける。その問は、多くの親にとって修辞法にすぎない。つまり、「何かできるのか?」は、ほとんど「何もできない」に等しいのだ。一方で、我が子を麻薬中毒患者から隔離して、21世紀の疫病に触れさせまいと頭を悩ませているさらに大勢の親たちがいる。
ようやく、この問に答える人々が現れてきた。我が国の法律にのっとれば、麻薬遊びをする子供たちは犯罪者である。しかし、溺れる者を救わなければならないという道理からして、国が国民を守ることができなのなら、国民がそれなりの方法で自己防衛を始めなければならない、という動きだ。
こんな例があった。ある若者たちが、奇跡が降ってわくなんてことがあるはずはないから、市民としての判断によって、自分たちで麻薬の売人の被害をなくそうとした。毅然として闘ったおかげで、売人は恐れをなして通りに出るに出られなくなっている。件のディーラーの顔にぶちまけられたペンキは1か月は洗い落とせないだろう。
インターネットにコンスタントに出されている広告に、麻薬と闘う果敢な若者に最高5000ドルの賞金を出そうというのがある。ただ、報奨金がもらえる半面、暴力行為としてとがめられる可能性もある。しかし、若者は全く臆することがない。ドラッグ中毒にとどめを刺そうと決意を固めた若者は、自分たち流の方法でドラッグ中毒との闘いを続けている。
別に警察を非難して言うのではないが、その若者たちがどうやって麻薬の売人を見つけ出しているのか、驚きだ。マスメディアの報道でも映画のストーリーでも、売人探しは時間のかかる厄介な仕事で、プロしかできないということになっているのに。で、団地の広っぱの男の子たちに聞いてみると、勇士の一人が答えてくれた。
「ディーラーを見つけるのなんか、難しくないさ。最近はソーシャルネットワークに売り込み広告がいっぱいさ。<酸化物>とか<スパイス>とか出ているよ。そんなめんどくさいことしなくても、たいていは、ドラッグの名前と電話番号がアスファルトに書いてあるんだ」
この若者たちは大したもんだが、法は法。とはいえ、分からないのは、ドラッグ撲滅に立ち向かっているティーンエージャーをいとも簡単に罰しておきながら、それでいて、われわれの勇敢なる法の番人たち自身が自分の手では麻薬販売をストップさせられないでいることだ。
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