日本でも麻薬の蔓延が問題になっていますが、孤独な人ほど麻薬から抜け出せないという統計があるようです。精神の安定のためにも、仲間を作り、コミュニケーションを取り合いましょう。趣味もテレビのような一方通行のものでなく、相互のコミュニケーションを取れる参加型のものが良いと思います。
窃盗・覚せい剤の再犯率、「家族と同居」で大きく低下 犯罪白書 再犯率が高い窃盗と覚せい剤取締法違反について有罪判決の確定者を追跡調査したところ、安定した職に就いたり、生活の監督をする家族と同居すれば、そうでない場合に比べ再犯率が半分近くに抑制されることが、法務省が13日に閣議報告した「2009年度版犯罪白書」で分かった。白書は「犯罪者が社会復帰に向け職に就くのには様々な障害があり、就労を支援する措置が必要」と指摘している。 今回の白書のテーマは「再犯防止施策の充実」。東京都と横浜市で2004年中に有罪判決が確定した約1200人について追跡調査を実施。再犯の有無や居住・就労状況などとの関連を調べた。 その結果、執行猶予付きの有罪判決を受けた後に4年以内に再び何らかの罪を犯した割合は、無職だった場合、窃盗で34.4%、覚せい剤取締法違反で37.8%だったが、安定した職に就いていた場合はそれぞれ、19.3%、17.9%。(13日 11:31) NIKKEI NET(日経ネット):社会ニュース−内外の事件・事故や社会問題から話題のニュースまで
アメリカ映画を見ているとよく麻薬がらみのシーンが出てきます。大抵の映画では、登場人物たちがいかに快楽主義的で道徳などおかまいなしな人物なのかを強調するためや、犯罪者をいかにも社会に敵対する破滅的な人間であると印象づけるために使われています。しかし「レクイエム・フォー・ドリーム」の中で薬物に中毒してゆく人達は、どうみても悪者には見えません。弱気でさみしがり屋のサラは、唯一の趣味と言えるものが甘いお菓子を食べながらテレビを見ること。互いに夢中になりながら夢を語り合うハリーとマリオンは、その生き方が甘ったれてはいるけれどどうしようもない不良ではありません。タイロンは恋人を大事にする優しい青年で、銃もナイフも持っていない。 この映画は、過去のトラウマのせいで自暴自棄に走ったり、身勝手な欲望のせいで社会のワクを大きくはみだす犯罪者ではなく、ごく普通に日々を暮らす中で空虚感をかかえたり孤独に向き合わなければならない、我々自身でもあり我々の身の回りどこにでもいる人間を描いています。どこにでもいそうな人間が底なしの中毒へと堕ちてゆく。だから恐い。 (中略) 我が息子に向かって「朝、起きるのはテレビを見るため」と寂しげな笑顔で言う彼女を笑える人がどれだけいるでしょう? 夫が死に、子供が離れて行ってしまった孤独な彼女にとってはテレビだけがさびしさを忘れさせてくれ、辛い現実から目をそらしてくれる友達です。それは別に責められる事ではないはず。 彼女がひいきにするテレビ番組が、実際に同じような内容の物があるであろうテレビ番組のグロテスクな模倣になっている所がおもしろい所です。「ダイエットに成功したあなたこそが勝者だ!」と、あおりたてる司会者は現実にもいそうです。僕自身、派手で明るい雰囲気のアメリカのダイエット器具通販番組を見慣れているせいもあって(テレコンワールドとか)、思わずニヤッとしてしまいました。こういった番組が視聴者に与えようとするのは、太っていることは不幸で、ダイエットの成功はそのまま人生の幸せにつながるのだと言ったとても短絡的な思考です。ダイエットに成功したくらいで人生が明るくなるなんて保証はどこにも無いのに、番組を見ている間はその価値観を信じさせられてしまうほどに上手い。かなりよくできたエンターテイメントです。そんな番組を眺めて微笑むサラの姿は、お昼時にみのもんたの顔を見ることで、より健康になったかのような一時の安心感を得る主婦と同じようなもの。日本以上にダイエット現象がさかんなアメリカでは様々なダイエット器具やダイエット食品、ダイエット薬のようなものが販売されており、劇中サラが訪れた痩身クリニックでは彼女の体などろくに診もせずに医者がダイエットピルを処方します。朝、昼、晩、と色分けされたこの怪しげな錠剤はひところ日本でも騒がれた「覚醒剤ダイエット」のようなものらしく、主成分は覚醒剤と同じだということが息子のハリーの言により観客にほのめかされます。サラに薬を飲むのをやめさせようとするハリーですが、彼女は頑として息子の忠告を聞きません。彼女にとって「テレビに出る」ということは人生の勝者へと自分を押し上げる夢となってしまうのです。サラが泣きそうな声でハリーに向かって「テレビに出ればみんなが私を好きになるわ」と微笑むくだりでは、絶望スレスレの彼女の孤独の深さが伝わってきます。最初こそ気持ちが明るくなり快活に行動できるようになったサラですが、次第に小さな幻聴や幻覚が起こりはじめ、安心したいがために決められた量を超えた錠剤を飲み下した所で薬の中毒になってしまいます。 映画考「レクイエム・フォー・ドリーム」
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