現在日本は「第3次覚せい剤乱用期」と言われ、中高生をはじめとする少年の乱用が目立っています。平成11年に、覚せい剤の事件や犯罪で検挙(警察官が容疑者を捕まえて、警察に連れて行くこと)された少年は996人いたそうです。「やせられる」「勉強がすすむ」といったドラッグにたいする間違った知識からや、「友達にすすめられて」「みんながやってるから」など友達に影響されて始める事が多いみたいです。でも、ドラッグは一度使っただけでも立派な犯罪です。ちょっとした興味が、あなたの人生を壊してしまうことだってあるのです。ここで、ドラッグについて少しでも知ってもらえたらいいなと思います。
~薬物乱用って??~
薬を、医療など本来の正しい目的ではなく、快楽を得る・やせられるなどの不正な目的に使うことを薬物乱用といいます。
スポーツの世界で問題になるドーピングも、一種の薬物乱用です。これも、良い成績のために不正に薬を使用していることになるからです
※薬物乱用~覚せい剤やシンナーなど禁止されている薬物や化学物質を不正に使うこと。
~薬物には、どんな種類があるのか?~
日本国内で多く乱用されているのは、有機溶剤(シンナー・トルエン)と覚せい剤と言われています。その他にも、LSD・大麻・コカイン・ヘロイン・モルヒネなどたくさんの種類の薬物が乱用されています。
みなさんのなかには知らない人もいるかもしれませんが、アルコールやタバコも薬物の一種です。しかし、この2つは20歳になれば、飲んだり・吸ったりすることは他の薬物のように違法な行為にはなりません。
また、最近では、合法ドラッグ(今の時点では違法にならない薬物)が、インターネットなどで簡単に入手できるようです。エクスタシーやラッシュという種類のドラッグが多く出回っているみたいです。これらは、違法な薬物の化学構造を少し変化させて製造された薬物(デザイナーズドラッグ)ですので、心身に害があることには何ら変わりありません。みんな、合法という言葉にだまされてはいけないのです!!
それと、みんなが安全だと思っている薬局などで売られている鎮痛剤や咳止めも、使い方次第では、強い依存性を引き起こしかねません。
●ドラッグによる3つの作用とその種類
【興奮作用】~コカイン、覚せい剤、一部の咳止め薬など
気分が高ぶり、ハイな感じになります。
【抑制作用】~有機溶剤(シンナー、トルエン)、麻薬、睡眠薬など
神経が抑制され、頭をぼんやりとさせたり、体全体をだるくさせたりします。
有機溶剤とは??→塗料を薄めるために使用される薬品
【幻覚作用】~大麻、マリファナ、ハシッシュ、LSDなど
モノを変形してみせたり、時間の感覚を無くしたり、感情を変化させたりします。
●呼び方(隠語)に惑わされてはダメ!!
覚せい剤…エス、スピード、アイス
シンナー…アンパン
コカイン…コーク、スノウ、クラック
有機溶剤…弾丸、クライマックス
大麻…ハッパ、マリファナ、グラス、チョコ
LSD…アシッド、フェニックス、ドラゴン
薬物と知らずに使用して悲惨な結果にならないように、充分に注意ください!!
~薬物を乱用すると、どうなるのか?~
ドラッグがあたえる5つの害
(1) 急性中毒-一度に大量のドラッグを使用すると(体質によっては少量で)息苦しくなったり、心臓がドキドキしたり、脳の血管が破裂したりして急死する
(2) 精神的依存-ドラッグが切れると、どうしてもほしくなり、なんとか手に入れようと探しまくる。これを「薬物探索行動」という。
(3) 身体的依存-ドラッグがきれると、体が震えたり意識が遠のいたり、体中に痛みが走るなど「禁断症状」をおこすようになる。
(4) 体へのダメージ-ドラッグによって体中がボロボロになる。特にシンナーなどの有機溶剤によるダメージは大きい。
(5) 精神へのダメージ-「幻覚」を見たり、無気力になる、突然わけのわからないことを叫ぶなど、正常な気持ちをとりもどすことができなくなる。
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【フラッシュバック】
薬物をやめていても、脳には薬物の記憶が残っていて、少量の薬物でも幻覚や妄想が現れることがあります。また、飲酒やストレスなどごく小さい刺激によって突然、幻覚、妄想などの精神病の状態が再発することがあります。これをフラッシュバックといい、とても恐れられています。
~シンナーの害~
シンナーは本来、塗料や接着剤などをとかすために使用されています。
シンナーの蒸気を吸い込むと、肺から血液中に入り、全身をまわります。特にシンナーは脳に集まる性質があり、脳細胞を麻痺させてしまいます。シンナーを吸うと、お酒に酔ったときと同じような状態になりますが、アルコールよりも早く意識を失ったり、呼吸が止まったりすることがあります。
また長い間シンナーを吸い続けると、身体内部の臓器にさまざまな障害がおこってきます。とくに成長期のみんなには、背がのびない、筋肉がおとろえる、体重が減るなどの症状があらわれ、発育をさまたげる大きな原因となってくるのです。
シンナーの体への影響
記憶力低下、幻覚、妄想、ぼけ症状
歯がボロボロになる
視力の低下、失明
気管支、肺粘膜がおかされる
肝臓細胞の一部が死ぬ
食道、胃がむかつき出血する
赤血球がつくられなくなる
タンパク尿がでる
生殖器が萎縮する
手足のふるえ、しびれ、麻痺がおこる
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~覚せい剤の害~
覚せい剤には、神経を興奮させ、眠気や疲労感が無くなり、頭がさえたような感覚にさせる作用があります。しかし、そういった効果は数時間で切れ、激しい疲労感や脱力感が残ります。また、脳の神経伝達をおこなう部分を破壊し、脳に障害をのこします。
覚せい剤は、非常に依存性が強く、耐性(薬の量を増やさなければ、薬の効果を得られないこと)もあります。乱用を続けると、幻覚や妄想があらわれ、錯乱状態になって、突発的に見ず知らずの他人に暴行を加えたり、なかには殺害したりするようなこともある大変危険な薬と言えます。
それと一度に大量の覚せい剤を体にいれると、急性中毒になり、意識を失い、脳出血で死亡することもあります。
そのほかに、体重が減る現象が起こります。覚せい剤には、食欲を抑える作用があります。これが、女子中高生の間で覚せい剤に手を出す原因になっています。しかし、覚せい剤には耐性があるので、初めは少しの量でも、次第に摂取する量を増やしていかなければいけなくなります。
~ ドラッグは将来の赤ちゃんにも影響します~
みんなのなかには、いつかは好きな人と恋愛して、結婚して赤ちゃんを産みたいなって考えてる人いると思います。「今は、誰にも迷惑掛けてないからいいでしょ!!」なんていう短絡的な考えでシンナーやコカインなどの薬物を乱用していると、将来生まれてくる赤ちゃんに異常がでてくる場合があるんです。
ある病院で、大麻をやりつづけたお母さんから生まれた赤ちゃんを調べたら、その7割近くもの赤ちゃんが、震えたり金切り声で泣いたり、麻薬の影響と思われる症状がでたという結果があります。
また、アメリカでは「コカインベイビー」が一年に10万人も生まれているそうです。「コカインベイビー」とは、妊娠中にお母さんがコカインを乱用したために、障害を持って生まれてきた赤ちゃんを言います。一般的には赤ちゃんは3,000グラムくらいの体重で生まれてくるのですが、コカインベイビーは1,000グラムもない体重で生まれてきます。だから、自分で息をしたり、お母さんのお乳を飲んだりする力もなく、保育器の中で、酸素や栄養を得るためにチューブにつながれていなければいけないのです。保育器からでられたとしても、手足がうまく動かせなかったり、悲しいとかうれしいという感情をうまく感じられなかったり、突然意味もなく大騒ぎしてしまうことがあったりと、たくさんの問題を抱えて生きて行かなければいけません。決して、自分が悪いのではないのに……