ヘロインは、けしを原料とした薬物です。けしからあへんを採取し、あへんから抽出したモルヒネを精製して作られます。純粋なヘロインは白色粉末ですが、純度の低いものには灰色や灰褐色のものもあり、粉末の他に棒状、板状、粒状などさまざまな形状のものがあります。一般的には無臭ですが、中には酢酸の臭いのするものもあります。
けし
ヘロイン
けしから採取されるあへんを精製してモルヒネを作り、そのモルヒネを科学的加工したものがヘロインになるんだ。ヘロインは、モルヒネの3倍も強力で、中毒性もすごく高いんだよ。
ヘロインの影響
ヘロインには、神経を抑制する作用があり、乱用すると強い陶酔感を覚えることから、このような快感が忘れられず、乱用が繰り返されるようになり、強い精神的依存が形成されます。また、それと同時に強い身体的依存が形成され、2~3時間ごとに摂取しなければ、体内の筋肉に激痛が走り、骨がばらばらになって飛散すると思うほどの痛み、悪寒、嘔吐、失神等の激しい禁断症状に苦しむこととなり、あまりの苦しさから精神異常をきたすこともあります。大量に摂取すると、呼吸困難、昏睡の後、死に至ります。
ヘロインの身体的影響
●脳には
あへん系麻薬は、中枢神経に作用するため、さまざまな意識障害や、幻覚・妄想、記憶力の低下、痙攣などを引き起こします。また、呼吸中枢に異常を来しますので、呼吸困難から、引きつけやこん睡に至り死亡することもあります。
●気管支・肺には
気管支炎を引き起こし、咳や痰を生じます。
●胃には
嘔吐感や慢性的に繰り返す下痢を引き起こします。
●目には
あへん系麻薬には、瞳孔を拡大させたり、涙目になるなどの影響を与えます。
●心臓には
心不全や不整脈、胸痛を引き起こします。
●生殖器官には
精子、月経の異常を起こし、流産・死産、先天異常の原因となります。
●その他に
注射針の共有から、エイズ感染や肺炎、静脈炎に感染する恐れもあります。
ヘロインの精神的影響
ヘロインの摂取は、強烈な陶酔感をもたらすと言われています。その心地よさは、精神的な依存を強め、禁断症状の激しさは身体的な依存を高めます。耐性も大きく、またたくまに使用量も増えていきます。
薬の効果が切れると、禁断症状がおそってきます。最初のうちは倦怠感やあくび、くしゃみ、不眠、鼻水やよだれが出るといった不快な症状程度ですが、じょじょに動悸、発熱、悪寒、全身の震えなどの身体的症状が起こってきます。続いて筋肉や関節の激痛、下痢などを繰り返し、それによって意識がもうろうとしてきます。また、「蟻走感」といって、体中を小さな虫が這い回るような不気味な感覚におそわれます。
このような激しい禁断症状が慢性的に続くと、精神は完全に錯乱していきます。異常な興奮状態におちいって、自分の体をかきむしったり、壁にぶちあてたりするような自傷行為に至ることもあります。こうなるとすでに人間としての正常な感覚や精神活動はまったく失われた状態になり、この錯乱状態は入院すれば完治するものではなく、根深い精神障害として残ります。